2011年9月17日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)「100年のロシアPartⅡ」(期間延長訂正版)


★アレクセイ・ゲルマン監督の3作品(⑩⑪⑫)が加わり、期間が2日間延長されました。

9/17(土)-9/25(日) 渋谷・アップリンクファクトリー

「デルス・ウザーラ」«Дерсу Узала»

 黒澤明監督1975

★原作はウラジーミル・アルセーニエフ著『デルス・ウザラー』。群像社から岡田和也訳、ゲンナジー・パヴリーシン絵で2006年刊。ちなみに日本映画ではなく、ソ連映画です。



機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」«Неоконченная пьеса для механического пианино»

 ニキータ・ミハルコフ監督1977

★原作は『プラトーノフ』他のアントン・チェーホフの作品。日本で最初に紹介されたミハルコフ作品で、それゆえか今でも「最もミハルコフ的、チェーホフ的」と言われる。ヒロインのエレーナ・ソロヴェイ、脚本のアレクサンドル・アダバジャン、音楽のエドゥアルド・アルテミエフ、撮影のパーヴェル・レべジェフ等“ミハルコフ組”が早くも勢揃い。



「メキシコ万歳」«Да здравствует Мексика! »

 セルゲイ・エイゼンシュテイン監督1931

1979年に助監督だったグリゴリー・アレクサンドロフが監修・編集)

★エイゼンシュテインがアレクサンドロフとティッセが渡米した際、シンクレアの資金援助で撮影開始したフィルム…なのだが、なかなか完成しないうちにシンクレアとは決裂し、スターリンの呼び出しを受けてソ連に戻らなくてはならなくなり、エイゼンシュテインはネガを置いて帰国。エイゼンシュテインの死後、ようやくソ連の手に戻ったネガフィルムをアレクサンドロフが編集したもの。なので、未完成感が否めません。特に深刻な場面でふざけたような音楽が入るのがとても気になります。とはいえ、迫力の映像は斬新でありながらクラシカル。さすが巨匠!



「モスクワは涙を信じない」«Москва слезам не верит»

ウラジーミル・メニショフ監督1979

★停滞の時代のソ連で大ヒットしたメロドラマ、というか一種のシンデレラ・ストーリー。日本公開のときにも連日立ち見だったそうです。「モスクワは涙を信じない」は「権力に涙は通用しない=泣く子と地頭には勝てない」という諺だったのですが、今では「泣いても事態は好転しない、元気を出しなよ」という慰め、励ましの言葉に変容しています。



「誓いの休暇」«Баллада о солдата»

グリゴリー・チュフライ監督

★「世界で最も愛されたソ連映画」。この映画を紹介するのはそれだけでいい。私の“生涯ベスト5”の一本。



「ベルリン陥落」«Падение Берлина»

ミハイル・チアウレリ監督1949

★スターリン礼賛映画の典型として筆頭に挙げられるのがこの作品。娘のソフィコはパラジャーノフやサディコフ等なかなかアヴァンギャルドな、というか反体制な作品に出演していますが。なお、日本語のウィキペディアには「ソ連初のカラー映画であった。」と謎なことが書かれています(ソ連のカラー映画第一号はニコライ・エック監督の「うぐいす グルニャ・コルナコーワ」1936年)。



「鶴は翔んでゆく」«Летят журавли»

 ミハイル・カラトーゾフ監督1957

★タチアナ・サモイロワ(「アンナ・カレーニナ」)とアレクセイ・バターロフが戦争によって無情に引き裂かれる恋人たちを演じる、ソ連雪解け時代の傑作。



「復活」«Воскресение»

 ミハイル・シヴェイツェル監督1960-61

★レフ・トルストイ原作の映画化作品。最近イタリアでも映画化されましたが、牢獄やシベリアへの列車の中があんまり寒そうに見えなかったのが難点でした。その点、こちらは筋金入りのソ連映画!



「大祖国戦争 巨大なる進撃の記録」«Великая отечественная»

 ロマン・カルメン監督1965

★文字通り、第二次世界大戦勝利に至るまでのドキュメンタリー。



「道中の点検」«Проверка на дорогах»

アレクセイ・ゲルマン監督1971

★私的にはゲルマン監督最高傑作。渋い。タルコフスキーの「僕の村は戦場だった」でドイツ軍への憎悪を貫く少年イワンを演じたニコライ・ブルリャーエフがここでは無知蒙昧なまま卑怯な売国行為に陥る若者役。



「戦争のない20日間」«Двадцать  дней без войны»

アレクセイ・ゲルマン監督1976

★従軍記者がタシケントで過ごす休暇。再会と別れ。これも渋い。



「わが友イワン・ラプシン」«Мой друг Иван Лапшин»

アレクセイ・ゲルマン監督1984

★ゲルマン監督の父ユーリー・ゲルマンの小説の映画化作品。粛清直前の1930年代前半の気風を伝える。日本ではなかなか伝えられる機会がなかった犯罪ものという点でも貴重。

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