2013年4月15日月曜日

◇КНИГА(書籍情報2013年4月②)生きること、人間らしく生きること


『レニングラード封鎖―飢餓と非情の都市1941-44
マイケル・ジョーンズ著松本幸重訳白水社978-4-560-08268-3

★封鎖の中、飢えと人間性抹殺の危機に際し、何が人々の支えになったのか。それは「他人を助けること、忙しくしていること、責任を追いながら働くこと」。それが生き残る鍵だった。「他人を救った人たちは、自分自身を救った。芸術と文化がそれを助けた。」(序論より)

★猫列車の話は第11章「何が必要だったのか―封鎖の打破から完全解除へ」389頁に書かれている。

★マルソヴォ・ポーレ広場は、たぶんマルス広場のこと。

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)メカス、ヴェルトフ、バラバノフ

渋谷のイメージフォーラムで、それこそカルトでレアな映画が上映されます。
でも、メカス作品の上映は413日にあって、既に終了。

①イメージフォーラム・フェスティバル2013開催直前予習企画
 無限の映画眼 『カメラを持った男』の探検誌

渋谷・シアターイメージフォーラム

「リトアニアへの旅の追憶」«Воспоминания о поездке в Литву»
ジョナス・メカス監督1972年アメリカ

「ロスト・ロスト・ロスト」«Потери, Потери, Потери»
ジョナス・メカス監督1975年アメリカ

上記2本の上映は413日にありました(終了しています)。
ジョナス・メカスЙонас Мекасはリトアニアからアメリカに亡命した映像作家・フォトグラファー。昨年11月、ジョナス・メカスノート、対話、映画(せりか書房)が刊行されていますので、関心のある方は是非ご覧ください。

「カメラを持った男」«Человек с киноаппаратом»
ジガ・ヴェルトフ監督1929年ソ連
426日(金)1900


②イメージフォーラム・フェスティバル2013
 「特集 創造するドキュメンタリー、無限の映画眼」
4/275/6 西新宿・パークタワー・ホール、渋谷・シアター・イメージフォーラム

「私も幸せが欲しい」«Я тоже хочу»
アレクセイ・バラバーノフ監督832012年ロシア
※原作はストルガツキー兄弟『路傍のピクニック』(タルコフスキーの「ストーカー」と同じ)か?
渋谷・シアターイメージフォーラム 427日(土)21:10/53日(金)21:10

「アフガン発・貨物200便」«ГРУЗ 200»
アレクセイ・バラバーノフ監督90 2007年ロシア
渋谷・シアターイメージフォーラム 428日(日)21:10/54日(土)21:10

故セルゲイ・ボドロフ(息子)主演の「ロシアン・ブラザー」«Брат»、 「チェチェン・ウォー」«Война» 等で知られるアレクセイ・バラバーノフАлексей Октябринович Балабановの近作・新作。

◇КНИГА(書籍情報2013年4月1)


『三つの世界の狭間で西欧・ロシア・オスマンとワラキア・モルドヴァ問題

黛秋津著名古屋大学出版会20133月刊5880978-4815807207

★モルドヴァの話題は、私の中では、ずっとリーグ優勝していたシェリフ・ティラスポリ、エプリャヌやコヴァリチュク兄弟、沿ドニエストル問題、ポップスユニットのO-ZONE(懐かしいでしょ?)といったところで、まとまった書籍を手にするのはこれが初めてかもしれない。

2013年4月6日土曜日

◇ВЫСТАВКА(展覧会情報)今日から始まる、レーピンとチェブ&ゲーナ


①国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
201346日(土)~526日(日) 神奈川県立近代美術館 葉山

★日本各地を巡回していたレーピン展もいよいよ最後の巡回地、葉山にやってきました。近代美術館葉山館はノルシュテイン展を開催していたこともありましたね。ザ・ミュージアムでの展示とは作品の入れ替えが少々あるそうです。 
 
 
★地下一階の美術図書室の展示も必見です。


チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち
20130406日〜0519日 高松市美術館

★このあと、20130712日〜0901日 八王子市夢美術館、20131116日〜20140115日(予定) 兵庫県立円山川公苑美術館と巡回します。

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)パワーアップ!ロシアン・カルト


アップリンクのロシアンカルト・アンコール!

53日(金)~56日(月)渋谷・アップリンク

★「カルト」っていうほどレアな作品は実はなく、普通に人気作品群だと思って観ればよい。いつの日か、「収容所惑星」完全版がこういう企画のラインナップに入ることがあるのだろうか?

前回の特集上映にあって今回の上映から外れた作品は、「アエリータ」「火を噴く惑星」「痛ましき無関心」「静かなる一頁」「セカンド・サークル」「ストーン クリミアの亡霊」。あらあ、アレクサンドロフが、ロボットのジョン君が!!

★今回の上映に加わったのは「ベルリン陥落」と「UFO少年アブドラジャン」。ホリダおっかさん、待っていたわ。 

①「ドウエル教授の首」«Завещание профессора Доуэля»
レオニード・メナケル監督1984年ソ連

★ソ連のSF作家アレクサンドル・べリャーエフのデビュー作『ドウエル教授の首』(1926年刊)の映画化。なんとも恐ろしい科学実験を平気でやってしまう人たちがいるものだが、原作者のべリャーエフは、そしてメナエル監督も、当時のソ連の「科学によって人間社会は無限に進歩していく」という素朴で明るい未来を本気で信じていたのだろうと思われる。今となっては絶対にこの手の映画は作られない、その意味では貴重。

②「両棲人間」«Человек-амфибия»
ゲンナージー・カザンスキー/ウラジーミル・チェボタリョフ監督1961年ソ連

★おごった人間の「産物」に酷い結末。人類はどう責任をとるつもりなのか?重い内容だが、やはり妙に明るい進歩史観。①と同じくべリャーエフ原作のジュブナイル(児童文学)。『映画に学ぶロシア語収録。

③「宇宙飛行」«Космический рейс»
ヴァシリー・ジュラヴリョフ監督1935年ソ連

基本的には真面目なSF映画(宇宙飛行士なのに遅刻するなよ、などと突っ込めるが。宇宙飛行の父、ロケットの父と称されるコンスタンチン・ツィオルコフスキー監修なのだ)。悪人はいないし、ラストでおおいにほっとする。必見。と言って何度も観に行っている私はいい加減DVDを買うべきではないだろうか?

「妖婆 死棺の呪い」«Вий»
アレクサンドル・プトゥシコ監修コンスタンチン・エルショフ、ゲオルギー・クロパチェフ監督1967年ソ連
原作:ニコライ・ゴーゴリ著『ヴィー』(岩波文庫『昔気質の地主たち  附 ヴィー(地妖)』収録)

★ゴーゴリの原作は十分怖いのかもしれませんが…怖くない!妙に明るいホラー映画になっています。且つウクライナの田園が美しい。ナターリヤ・ワルレイはとにかく異界の美女がよく似合う。ソ連の特撮王プトゥシコ大好き、大必見!

「不思議惑星キン・ザ・ザ!」«Кин-дза-дза! »
ゲオルギー・ダネリヤ監督1986年ソ連

★マシコフおじさん=ロシアの二枚目スタニスラフ・リュプシン(「私は二十歳」«Мне двадцать лет (Застава Ильича)»1965年)のスラーヴァ、ミハルコフ監督の「五つの夜に」«Пять вечеров»1978年)、「剣と盾」«Щит и меч»シリーズ(1968年))。人が変ったようにクー!しているのが衝撃的!すばらしい。『映画に学ぶロシア語』収録。アニメーションでのリメイク進行中。

「日陽はしづかに発酵し…」«Дни затмения»
アレクサンドル・ソクーロフ監督1988年ソ連
原作:ストルガツキー兄弟著『世界終末十億年前』群像社

★タルコフスキーがそうだったように、原作の雰囲気だけ借用して、後は自分の世界を作ってしまっているソクーロフ。トルクメニスタンの沙漠が暑くて暑くてたまらなそうで、観ていて辛いただただ不条理の世界。

UFO少年アブドラジャン」«Абдуладжан, или посвещается Стивену Спилбергу»
ズリフィカール・ムサコフ監督1992年ウズベキスタン

★おっかないけど愛情深いおっかさんのホリダ(トゥチ・ユスポワ)が魅力的!それに比べておとっつぁんのバザルバイは日和見の小心者!コルホーズの農民たちが農機具返還を求めて議長に詰め寄る場面、クーワ・カエセ(鍬、返せ)!」と聞こえるので耳を澄まそう。UFOに出会いたかった将軍は「モスクワは涙を信じない」の監督さん。「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」にもオタク役?で出演していましたね。

「ベルリン陥落」«Падение Берлина»
ミハイル・チアウレリ監督1949

★スターリン礼賛映画の典型として筆頭に挙げられるのがこの作品。娘のソフィコはパラジャーノフやサディコフ等なかなかアヴァンギャルドな、というか反体制な作品に出演していますが。なお、日本語のウィキペディアには「ソ連初のカラー映画であった。」と謎なことが未だに書かれています(ソ連のカラー映画第一号はニコライ・エック監督の「うぐいす グルニャ・コルナコーワ」«Груня Корнакова (Соловей-соловушка)»1936年)。