監督はフランスのマレーネ・イヨネスコ。バレエのドキュメンタリー映画を撮ってきた人だ。
ロシア語での表記はМарлен Ионескоだったり、Марлена Ионеску だったり。
(作家のウジェーヌ・イヨネスコと血縁関係はあるのだろうか?)
初回は満席立ち見も十人ほど。バレエ習っているだろうお嬢様たちも当然数人いらしていた。
そういった未来のバレエを担う者に、ロパートキナの進言は深い。
アドバイスには謙虚に、そして自分で考えること、後は努力しかないと。
(いや、これとんでもなく難しいでしょ!)
私が彼女の生の舞台を観たのはもう20年も前で、ヴィシニョーヴァやザハロヴァなどとともに、青の当時のマリインスキー百花繚乱のスターの一人、でありながら、やはり際立ってバレリーナ然としていた印象だった。
ある意味シルヴィー・ギエムなどとは対極に位置する人だ。
その後、ペテルブルグでは「今シーズンはロパートキナが何を踊るか?」が必ずトピックになるという、特別な存在に駆け上がっていった感がある。
最近のロシア関連映画は後味悪いのが多かったが(「ボリショイ・バビロン」もどろどろ系)、ひたすら彼女の魅力に浸れるドキュメンタリー。
終始よい姿勢で端正な応対をする彼女のロシア語の響きが美しい。
更に上がある、もっと先がある、と努力を重ねる姿に、至高の美を感じる。
マリインスキーの稽古風景やワガノワアカデミーを訪れる場面もある。とにかく伝統のマリインスキーだから廊下に掲げられている先輩たちが物凄い。そんな重圧があっても乗り越えてロパートキナはロパートキナなのだからただただ素晴らしい。
「孤高の白鳥」というタイトルで、ロパートキナのはまり役筆頭が「白鳥の湖」であるにもかかわらず敢えてそれは見せず。
彼女が最も好きという「愛の伝説」はトルコ出身のナズム・ヒクメットの戯曲。
しばしば”踊れないタンゴ”とか言われるピアソラの曲も彼女にかかると見事なダンスになるのには感心した。
プティ振付の「サタデー・ナイト・フィーバー」の曲「ステイン・アライブ」もいい。何を舞っても気品が漂う。それとパリ・オペラ座の人にとってはバランシンは我がもの扱い?でロシアの伝統と違うから彼女にどうかと思ったけどみたいなことを言っていたのがおもしろかった
渋谷・ル・シネマで上映中。
ロパートキナのトゥーシューズ展示中(写真上)
※下の写真は「ボリショイ・バビロン」を観に行ったときに撮ったもの。
オデッサ・コスモス: ◇КИНОФИЛЬМ「ボリショイ・バビロン」: ル・シネマで上映中の「ボリショイ・バビロン」 今日は火曜のサービスデイ且つ休日なので、午前の回から満席御礼が続いていました。 映画を観ても、あの、セルゲイ・フィーリン硫酸襲撃事件の真相は謎のままだ。 (ドミトリチェンコが真犯人とは到底思えないという印象を受けるような作り。...