ソルジェニーツィンとの対話+ソクーロフ選集 ロシア/音楽/亡命
10月27日(土)~11月2日(金) オーディトリウム渋谷
初夏に行われた「ファウスト」公開記念 ロシアの巨匠ソクーロフ選集と上映作品はかなり共通しています(拙ブログ「ソクーロフスキー・ドクメンターリヌィエ・フィーリムィ(Сокуровские документальные фильмы)」参照)。
①「モーツァルト・レクイエム」«Петербургский
дневник. Моцарт. Реквием»
2004年フランス
★日本初公開作品。原題は「ペテルブルグ日記―モーツァルト・レクイエム」。(「ペテルブルグ日記」と題する作品はこれの他にドストエフスキー編(1997年)とコージンツェフ編(1998年)があります。)「レクイエム」の舞台(コンサート形式のオペラ上映みたいな感じで、歌手たちが歌いながら舞台を移動する様子を延々と撮っている)をひたすら追う70分。後の「エルミタージュ幻想」にも通じる作風。
②「ヴィオラソナタ・ショスタコーヴィチ」«Альтовая соната. Дмиторий Шостакович»
1981年ソ連
★師匠セミョーン・アラノヴィチとの共同監督作品。作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチの生涯を、貴重な記録映像(バレエ「黄金時代」初演時(サッカー編)の衣装などが観られる!)を駆使して描く。
③「エルミタージュ幻想」«Русский ковчег»
2002年ロシア
★エルミタージュ内を巡る驚異の90分ワンカット。ゲルギエフ指揮のオーケストラも見もの聴きもの。豪華でそれまでのソクーロフっぽくない。
④「チェチェンへ アレクサンドラの旅」«Александра»
2007年ロシア
★ガリーナ・ヴィシネフスカヤ演じる老女アレクサンドラが、孫が赴任しているチェチェンの駐屯地に現れる。思い切り場違いな彼女に対して駐屯地の兵士たちは結構優しい(世話役を仰せつかった兵士は役立たずだが)。チェチェンの美少年イリヤスの「こんなに長く戦争をして、もう解放してほしい」という言葉に対して、アレクサンドラ曰く「日本の老女が言っている。どんなに辛いことも終わる時が来る。必要なのは理性を失わないこと。武器や暴力に真の力はない。」誰のこと?と思ったら、日本の老女=японская конституция説が。憲法は確かに女性名詞、しかし<老女>扱いか。ロシア兵だけでなく、チェチェンの市井の人々もアレクサンドラ(割と我がまま気ままなおばあちゃんなのだが)にとても親切だ。しかしその親切にロシア人としてはいつまでも甘えていてはいけないのでは?
⑤「ソルジェニーツィンとの対話」«Узел. Беседы с Солженицыным»
1998年フランス
★ノーベル賞作家ソルジェニーツィンは聞きしに勝るコンサバなロシア語観の持ち主なのだった。奥さんはサハロフ博士夫人のボンネルさんを想わせる賢夫人。
⑥「ロストロポーヴィチ 人生の祭典」«Элегия жизни ― Рострапович. Вишневская»
アレクサンドル・ソクーロフ監督2006年
★原題「人生のエレジー ロストロポーヴィチ、ヴィシネフスカヤ」とは似ても似つかない邦題に。観ればわかるが、ヴィシネフスカヤはエネルギッシュだ。④の次作に続く。
⑦「牡牛座 レーニンの肖像」«Телец»
2001年ロシア
★レオニード・モズガボイは、この作品でレーニンを、「モレク神」«Молох»でヒトラーを、「ストーン クリミアの亡霊」«Камень»でチェーホフを演じています。役者って凄いな。「エルミタージュ幻想」(③)にも出演しています。
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