2012年2月24日金曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)ドイツ語のソクーロフ

「ファウスト」«Фауст»
アレクサンドル・ソクーロフ監督ロシア2011
5月 シネスイッチ銀座

★あのゲーテの「ファウスト」が原作で、ドイツ語の作品。ソクーロフの映画の中でも原作が有名文学作品であるもの(「ボヴァリー夫人」「静かなる一頁」等)はかなり辛いものがある。“ソクーロフの”作品なのだ、と心して鑑賞すべし。

2012年2月23日木曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)謎の実話を元に

エリック・ロメール監督フランス・スペイン・ギリシア・イタリア2003
4月 渋谷・イメージフォーラム
1930年代半ばのパリ。ソヴィエト?それとも反ソヴィエト?はたまたナチス・ドイツ?正体不明の亡命ロシア人将校とそのギリシア人妻の物語。実話をもとにしたミステリー映画。ロシア系と思しき俳優たちが多数出演しています。「エリック・ロメール追悼特集上映」や「フランス映画の秘宝」で上映されていますが、一般公開は初めてとのこと。

2012年2月22日水曜日

◇ВЫСТАВКА(展覧会情報)16年ぶりのレーピン展

国立トレチャコフ美術館所蔵レーピン

201284日(土)~108日(月・祝) 渋谷・Bunkamuraザ・ミュージアム
 


201346日(土)~526日(日) 神奈川県立近代美術館葉山(逗子または新逗子よりバス)

1978年、1996年に続いての3回目の日本でのイリヤ・レーピン個展。トレチヤコフ収蔵の約100点の本格的回顧展とのことで「作曲家モデスト・ムソルグスキー」「文豪レフ・トルストイの肖像」「トルコのスルタンに手紙を書くザポロージエのコサック」等イリヤ・レーピンの代表作がやってきますが、中でもわくわくさせるのが「思いがけなく」(1884-1888年)との対面です(幼少の頃かこさとし著『うつくしい絵』で出会って以来、憧れでした)。レーピンは移動展派の、というよりも、ロシア絵画の一大巨匠ですが、大変な文筆家でもあり、自伝は『ヴォルガの船曳』(松下裕訳中公文庫1991年刊)で日本語訳されていますので、是非ご一読ください。

★初日に訪れたことについてはこちらに書いてあります。

2012年2月17日金曜日

◇КНИГА(書籍情報2012年2月②)みすず書房


『人生と運命 1』
ワシーリー・グロスマン著斎藤紘一訳みすず書房2012116日刊ISBN 978-4-622-07656-8
 
  『人生と運命 2
ワシーリー・グロスマン著斎藤紘一訳みすず書房2012210日刊4725ISBN 978-4-622-07657-5
 
『人生と運命 3
ワシーリー・グロスマン著斎藤紘一訳みすず書房2012319日発行予定4725ISBN978-4-622-07658-2
 
★『赤軍記者グロースマン 独ソ戦取材ノート1941-45』(白水社2007年刊)のグロースマンによる小説。分厚いのが3冊。
 
『ディアギレフ』
シェング・スヘイエン著鈴木晶著みすず書房2012224日刊行予定7980ISBN978-4-622-07654-4

2012年2月16日木曜日

◇КНИГА(書籍情報2012年2月①)昔話

『みっつのねがい エストニアの昔話・世界傑作絵本シリーズ』
ピレット・ラウド再話・絵まえざわあきえ訳福音館書店20121月刊ISBN 978-4-8340-2702-0

2012年2月11日土曜日

◇СПЕКТАКЛЬ(演劇情報)バレエファンにもお薦めか

ロシア現代劇連続上演シリーズ第4

ナジェージダ・プトゥーシキナ作・大森雅子訳・原田一樹演出
後援:ロシア国立マールイ劇場 主催:名取事務所
229日(水)~34日(日) 下北沢・『劇』小劇場
★昨年「先の話だけど」に書いたネタですが、公演が近付いたのでもう一度書きます。
★ナジェージダ・プトゥーシキナは現代ロシア演劇界で活躍する劇作家・映画監督。訪ねて行ったアパートの部屋を間違い、そこから出会いが始まり…という、人気映画「運命の皮肉」にも似た導入の「家族の写真」«Неугомонная бабушка. Или пока она умирала…»がなかなかよかったので、今度の作品にも期待しています。
★このロシア現代劇連続上演シリーズは、1作アルブーゾフ「私のかわいそうなマラート」・第2作ヴァンピーロフ「ホテル・タイガ」(『田舎奇談』«Провинциальные анекдоты»より第一話「メトランパーシ物語」«История с метранпажем»/第二話「天使との二十分」«Провинциальные анекдоты»)・第3「不思議なバーバ」«Чудная баба»に続く第4作(第10作まで予定)。以降ワシーリイ・シュクシン/アレクサンドル・ガーリン/リュドミーラ・ペトルシェフスカヤ/アナトーリイ・キム/アレクセイ・カザンツェフ/ニコライ・コリャーダが控えています。
★小さい劇場なので、どの日も残席僅少です。WEB予約割引あり。

◇СПЕКТАКЛЬ(演劇情報)革命児ベリャコーヴィチの「どん底」

劇団東演公演№138「どん底」«На дне»

マクシム・ゴーリキー原作ヴァレリー・ベリャコーヴィチ演出・美術
225日(土)~28日 下北沢・本多劇場
4列に並べられた二段ベッドを、俳優たちが目まぐるしく転がりまわり群舞する、今までにないエネルギッシュな(反面、観ているとへとへとになる)、まさに衝撃のベリャコーヴィチの「どん底」。ゴーゴリ、シェイクスピア、ブルガーコフなどの戯曲で一躍ロシアの、そして世界の人気劇団となったユーゴザーパド劇場が1996-1997年シーズンにゴーリキー作品(元祖社会主義リアリズムと目されていた)をレパートリーとしただけでも意外だったのですが、まさにあっと言わせる舞台にしたのでした。
★東演にとっても「どん底」は、八田元夫演出(1966年(初演)~1977年)・千田是也演出(19801992年)に続き、1998年以降このベリャコーヴィチ演出と、脈々と受け継がれてきた重要なレパートリー。「東演の『どん底』か『どん底』の東演か」との名句も生まれたそうです。 2004年にはロシア公演を果たしています(←行って観たかった!)。
★今回の公演では、ベリャコーヴィチの他にスタッフでは照明・音響・衣装、出演者ではガルキナとナグレジノフの二人がロシアの人。ガルキナとナグレジノフの台詞はおそらくロシア語(字幕付き)と思われます。

2012年2月10日金曜日

◆ПЕРЕДАЧА(放送予定)NHKラジオ・TV講座2012年度

①ラジオ講座49月(6か月)  850-905
月~水「まいにちロシア語・入門編」八島雅彦先生の新作
木・金「まいにちロシア語・応用編」柳町裕子先生の新作 「単語を極める」シリーズ

②ラジオ講座103月(6か月)
 再放送(入門編・応用編とも49月の再放送という意味か?)

③ラジオ講座「アンコールまいにちロシア語」49月(6か月)
月~金 1630-1645
柳町裕子先生「気軽に話そう 単語から始める基本編」2011年度の再放送
(元の放送は2010年度)

TV講座49月(6か月)
水曜深夜(木曜)100-125 再放送金曜早朝530-555
沼野恭子先生「シベリア4都市紀行~知らないロシアに出会う旅」2009年度以降ずっと再放送しているものをまたも放送。


★ラジオ講座4~9月の新作は、入門編・応用編とも期待します。
 特に、柳町先生の応用編は「気軽に話そう 単語から始める基本編」の続編という捉え方でよいだろうか。とにかく、語彙は増やしたいですからね。

★アンコールまいにちロシア語、TVでロシア語ともに、延々と再放送。
 特にTVはいい加減新作にして欲しい。再放送ばかりで、NHKは酷い!もう全然「知らない」とは言えないでしょう!と、皆でNHKに苦情を言うべきですよね。

★ストリーミングができるようになっているかどうかは不明(あまり期待できない)。できるようになったら画期的ですよね。

2012年2月4日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報) 「プリピャチ」ロードショー決定

「プリピャチ」«Прирять»
ニコラウルス・ゲイハルター監督オーストリア1999
3/3(土)~ 渋谷アップリンク

★昨年12月にアテネ・フランセ文化センターで数回上映されただけでした(を参照)が、このたび一般公開されることになりました。これを機会にどうぞご覧ください。
 公式サイトは2/4時点で予告編しかありませんが)。

★これが制作されたのはチェルノブイリ事故後12年の1999年。当時、ヨーロッパでチェルノブイリ事故の報道が殆どされなくなったので忘れないために記録しておくことにしたという監督の言葉は重い。ヨーロッパのみならず、日本でもそうであったろうから。

★「若い人をここで働かせないために」自分がプリピャチの環境研究所で働くジナイーダさん、腰かけているのは、もう二度と使われることのないスタジアムの観客席だ。「サッカーはとても人気があった。プリピャチは若い人の町だった。」

◇ВЫСТАВКА(展覧会情報) またもやエルミタージュ美術館展

大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西洋絵画の400
4/25(水)~7/16(月・祝) 乃木坂・国立新美術館


15世紀ルネサンス美術からシチューキンとモロゾフが収集した20世紀初頭のアヴァンギャルドの作品あたりまでの、エルミタージュ美術館所蔵の西洋絵画全89点。

2/24まで、早割ペアチケット発売中(1100*二人分で2200円)、2/25-4/24までは前売券(チェブラーシカオリジナルエコバック付きチケットもあり)発売。

★グッズもいろいろ発売されるのでしょうが、エルミタージュと言えば小さな守衛さんたちですね。

『エルミタージュ内の猫の家』2010年夏当地(美術館の売店)で購入。
エルミタージュ所蔵の猫の絵・彫像などと、エルミタージュの職員猫の写真、子どもたちが描いた猫の絵が載っている。
2011年夏に訪ねた時にはロシア語版は売り切れ、英語版しか残っていなかった。

『エルミタージュ 猫たち』
2011年夏に当地で購入。上の本と同趣旨でずっとハンディなサイズ。日本猫が表紙。犬版もあったと思う。

こういったものを輸入販売してくださるとありがたい。
ラファエロの回廊(2010年夏撮影)

2012年2月3日金曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)川崎はレンフィルムの宝庫


突然ですが(実は明日からだ)、川崎市民ミュージアムでロシア映画特集です。
  「ロシア映画特集 カネフスキー3部作+レンフィルム」

2/4(土)・2/5(日)・2/25(土) 武蔵小杉・川崎市民ミュージアム映像ホール

2/4(土)
1230「ぼくら、20世紀の子供たち」«Мы дети XX века»
 ヴィターリー・カネフスキー監督1993年ロシア

1500「パッツァーニ」«Пацаны»
 ディナーラ・アサーノワ監督1983年ソ連

2/5(日)
1200動くな、死ね、甦れ!」«Замси УмриВоскресни!»
 ヴィターリー・カネフスキー監督1989年ソ連

1515ひとりで生きる」«Самостоятельная жизнь»
 ヴィターリー・カネフスキー監督1991年ソ連

1400~はトークショー。

2/25(土)
1230「海に出た夏の旅」«Летняя поездка к морю»
 セミョーン・アラノヴィチ監督1980年ソ連

1500「護送兵」«Караул»
 アレクサンドル・ロゴシュキン監督1989年ソ連

★カネフスキーの3部作に青少年を描いたレンフィルムの傑作3本の特集上映。はっきり言ってカネフスキー作品よりレンフィルム作品の方が見ごたえがあります。

★特に「海に出た夏の旅」は、ロシアによくいる天才子役俳優たちではなく本物のストリートキッズを起用した、剥き出しの飢餓感に圧倒される佳作です。欲を言えば同じアラノヴィチ監督の「トルペド航空隊」との2本立てにしていただいたらなおよかったのですが。

★とは言え、軍隊内のいじめや暴力を取り上げた「護送兵」も掛け値なしに衝撃的な作品で、ロゴシュキン監督は後にはユーモアたっぷりの作品を撮る(「民族的狩りの特徴」「ククーシュカ~ラップランドの妖精」等)のだけれど、これはとことん暗くて救いようがなく、観続けるのが辛くてたまらない、とってもいい、必見の映画です。しかし、せめて上映順が「海に出た夏の旅」と逆の方がまだ、ぼろぼろになって帰宅の途につくということにならなくて済むのだけどなあ。

★キルギス出身の女性監督アサーノワの「パッツァーニ」も、更生施設の少年たちを描いた硬派の作品。夭逝したのが残念です。「きつつきの頭は痛まない」も少年ものの傑作でした。