2015年10月28日水曜日

◆Передача/Кинофильм レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺~Сладкая осень №1

「レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺」 "Вий"
2014年/ロシア/ウクライナ/チェコ/112分
11/6(金)午前9:00~ WOWOW
★ゴーゴリ原作『ヴィー』、アレクサンドル・プトゥシコ監修の「妖婆 死棺の呪い(魔女伝説ヴィー)」のリメイク?
★アクション・スターのアレクセイ・チャドフ(「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」のコースチャ、「ストリート・レーサー」、「第九中隊(邦題:アフガン)」、「チェチェン・ウォー」)出演(というか彼しか知っている人がいません)。

◆Передача/Кинофильм ソルジャー・オブ・フューリー Сладкая осень №1

「ソルジャーズ・オブ・フューリー」"Чужая война"
2014年/ロシア/89分アレクサンドル・チェルニャエフ監督

11/21(土)深夜3:30~WOWOWシネマ

★北ベトナムに旧ソ連の軍人が多数送り込まれていたという史実を背景にした、ロシア生まれのミリタリーアクション映画、とのこと。元々はTV連続ドラマ(серия)のようです。未見。

◆Передача/Кинофильм 国際共同制作プロジェクト もしも建物が話せたら(前編) Сладкая осень №1

「国際共同制作プロジェクト もしも建物が話せたら 前編」 "Храмы культуры (сериал)"

11/1(日)深夜1:00~ WOWOWプライム 
監督・製作総指揮 : ヴィム・ヴェンダースВим Вендерсのオムニバス6篇の一つにミハエル・グラウガーМикаэль Мэдсен監督「ロシア国立図書館(ロシア・サンクトペテルブルク)」

★第27回(2014)東京国際映画祭特別招待作品(未見)
★ミハエル・グラウガー監督のロシア国立図書館は1795年に建てられたもの。ロシア最古の公共図書館ではロシアで発行された印刷物はなんでもそろう。(番組紹介より)
★«Что могли бы рассказать о нас здания, если бы могли говорить?» — в фильме звучат шесть ответов на этот вопрос.(ロシアの映画検索サイトキノ・ポイスクより)

◆Передача/Кинофильм ブレスト要塞大攻防戦 Сладкая осень №1

「ブレスト要塞大攻防戦」"Брестская крепость"
 11/11(水)午後2:30~ WOWOW プライム
2010年/ロシア/ベラルーシ/139分

★先週の授業で”За мной”というフレーズが出てきたとき、思い出してしまったのがこの映画なのです。ナチス・ドイツの電撃攻撃をベラルーシのブレスト要塞で迎え撃つことになるソ連兵たち、なす術なんてほぼないので、隊長が”За мной! Ура!”(私に続け、ウラー!)と突撃すると、部下の兵士(義勇兵だったかも)たちも"Урааааа!!!!"と続き、部隊壊滅へ、という悲惨な戦争映画。
★監督は、現在「草原の実験」が公開上映中のアレクサンドル・コット。でも作風は全然違います。
★こちらはソ連・ロシアの伝統的な戦争映画だし、エレーナ・アンのような美少女も登場しないが、ロシアではこちらの方が高評価のようです。つまりはロシアにとっての関心は大祖国戦争>>中央アジアなのでしょう。

★ブレストは国境近くの都市なので、ナチス・ドイツが真っ先に攻めてきて、しばらく頑強な抵抗を続けたということで、1965年5月8日にキエフ・モスクワと共に英雄として顕彰されています。(都市ではなく要塞としての称号で、英雄都市ならぬ英雄要塞(Крепость-герой)となっている)。
★ブレスト攻防戦の映画はきっと他にもあるのだろうけれど、ロマン・カルメン監督の長編ドキュメンタリー映画「大祖国戦争」(冒頭に、236人の従軍写真家による記録映像であり、うち40人が犠牲になった、とある)では、ブレストの攻防戦に関する面で、煉瓦が溶けるほどの砲弾の嵐の中で、兵士たちが「さらば祖国よ(Прощай Родина)」の文字を壁に書き残ししていたのが心に深く刻まれました。

★ヒューマントラスト渋谷で特集上映(「未体験ゾーンの映画たち2015」)され、DVDも発売されています。またYouTubeで全編観ることが可能とのこと。

2015年10月25日日曜日

◆КНИГА黒いロシア 白いロシアーアヴァンギャルドの記憶



ロシア・アヴァンギャルドについての考察も素晴らしい(民衆演劇・街頭芸術と、より通りへ出て、民衆の中の芸術を体現していたという、今実に思い思いのフライヤーやプラカ持参でパレードする人々を目撃して”こんなものだったのかも”と思う)が、著者がジャーナリストとして滞在したペレストロイカ~エリツィン時代のロシア(グラスノスチの変容等)の証言的なエッセイ、レトロスペクティヴ的な諸々、読みやすく深い。
画像が現れないので、ここに貼っておく。

3500円と高価ではあるが、おもしろく、読みやすい。
名著なので、是非多くの人の目に触れてほしいと思う。

昨日は、著者武隈喜一さんによる亡命歌手ヴェルチンスキーについてのレポートが桑野塾であった。
ヴェルチンスキーは革命前のキャバレーで一世を風靡したロマンス歌手、亡命した先々で歌った「長い道を」は世界中でヒット。
その後、ハルビン、上海を経て、ソ連へ帰国。

「長い道を」は私も大好きで、昭和女子大のユーラシアサロンで山之内さんが講師をされたときに、こんなのを書いていた。

オデッサ海岸通り: 長い道を: 年齢がばれてしまうかもしれないが、その曲、私は「花の季節」で習った。 いや、今教科書を広げてみて、何の書き込みもないところをみると、授業ではやらなかったのかもしれない。 でも、私はリコーダーを吹くのが好きだったので、授業でやらなかった曲も、教科書に載っていたのは全部自分なりに...

「黒いロシア」の野蛮な限りには戦慄するしかないが、白いロシア、なのだろうか?「Ⅳ モスクワれとろすぺくてぃぶ」に登場するロシアの人々(古書商、音楽やバレエのコアなファンたち)が微笑ましいし、こんな出会いをされた著者が羨ましい。
とか言いながら、チャイコフスキーコンクールの会場に折り畳み椅子を持ち込んで自信たっぷりに評価を下す「アボーシカおばさん」や「〈マリインスキイ劇場〉の常連たち」で触れられるマハリナファンの強烈な女性に対し、堂々ヤポーンスカヤ・チョーチャの私としては実は似たようなことをしているので呆れるというより苦笑苦笑ですわ。
(開場前に並びそうなイメージフォーラムでの上映初日初回の鑑賞に備えて、真夏だったこともあり、折り畳み椅子持参して、実際使ったことがあるし~まあ、劇場内ではなくあくまで開館前に炎天下の外で待たされているときに折り畳み椅子に腰かけ、日傘さして待っていたのだが~、バレエでも第3幕になったら、空いているいい席に移動して観たことは何度もある。)
それ、別に恐ろしあじゃないですよ、と。


2015年10月22日木曜日

◆КИНОФИЛЬМ「独裁者と小さな孫」

今、小さい子連れて歩いている独裁者と言えばルカシェンコだが、この映画が撮影されたグルジアも、現代において独裁者を輩出?してきた土地柄であり、イランの著名な監督であるマフマルバフがグルジア語で、グルジア人俳優たちを使って撮ったこの映画は、サアカシヴィリらグルジア政界の独裁者のお歴々を思い出さずにはいられない、不思議な作品なのである。

「独裁者と小さな孫」"Президент"
Режиссёр:Мохсен Махмальбаф (перс. محسن مخملباف)

当然まだ書きかけ

2015年10月12日月曜日

◆Кинофильм 草原の実験

渋谷・イメージフォーラムで公開中。
ただ、時間があまり観に行きやすくない。
12:10とレイトショー。

以下はメモ代わりにツイッターに投稿したものを貼りつけたので、まとまった文章にいなっていません。

「寡黙にして雄弁な東京国際映画祭の上映作品群」として、「メルボルン」「遺灰の顔」「コーン・アイランド」「ナバット」までブログに書いて、この度一般公開の報があった「草原実験」と「ボーダレス ぼく国境線」(「ゼロ地帯子どもたち」)のレビューは書いていないままだった。おお。

今年(2014)映画12:ロシア「メトロ42」「ガガーリン」「草原実験」ソ連「石の上の花」イラン「夜行バス」「ゼロ地帯子どもたち」ポルトガル「家族の灯り」フィンランド「白夜のタンゴ」ポーランド「裏面」ハンガリー「悪童日記」アゼルバイジャン「ナバット」スペイン「ジプシー・フラメンコ」

今回東京国際映画祭で観たのは台詞が極端に少ない作品ばかり。「草原実験」は台詞一切無し、「コーン・アイランド」「ナバット」「ゼロ地帯の子どもたち」も寡黙。が、作品の語る力は大きい。


友人たちに強く推していた映画「草原の実験」、観た友人からの便りがあり、久しぶりにいい映画を観た、音楽担当のアレクセイ・アイギが「あの大詩人アイギの息子」であることに驚き、芸術の才能が引き継がれた、と大変喜んでもらえた。で、私ももう一回観に行った。たまらなく美しい作品なのだった。

二回目観た「草原の実験」、美少女エレーナ・アンの描き方とか、ある意味男性のファンタジー要素が強くて、皆普段どういう暮らしをしているのか謎ばかりの不思議な映画。ほんとに美しい風景と音なのだが。女性監督が撮ったら、保存食作りするシーンとかありそうだけど、そういうの一切なし。意外と生活感薄い。

「草原の実験」は台詞がないので、最初に観た時は意識しなかったが、エンディングのクレジットには役名が書かれていた。ヒロインДинаジーナ(プログラムでは“ジーマ”と大々的に書かれていたけど…)、お相手 Максимマクシム,父Толгатトルガト, 幼馴染Кайсынカイスィン 。
ジーマだとドミトリー略称で男の子みたい。実を言うと、マクシムもクレジットだとМаксだった気がする。あれ、ロシア人のようで伝統的なロシア人ぽくない(最近のサッカー選手には多いが)、収容所惑星みたいって思った。
映画「草原の実験」出演のダニーラ・ラッソマヒンくん、次回作はベスプラルィ監督作品「レールモントフ」のグレボフのようだ。РУТИ-ГИТИСという演劇大学を2014年に出て、今はチェロヴェク(人間)劇場。
http://www.chelovek-theatre.ru/actor.php?page=drassomahin

http://www.film.ru/articles/zavtra-byla-bomba

映画「草原の実験」出演のダニーラ・ラッソマヒンくんの出演映画はこれまで3本。“...за имя Мое”(2005)(短編)、“Кухня ”(2012年)(コメディー)、1992年12月29日モスクワ生まれ。軽業系は得意みたいだ。
https://www.youtube.com/watch?v=VPeaFrz0Sqo

「草原の実験」「トルパン」「三人兄弟」のカザフ3本に、「ウルガ」あたりを挙げておこうか。モンゴルでもいっぱいありそうだなー。

「草原の実験」のアレクサンドル・コット監督の前作は「ブレスト要塞大攻防戦」で、普通に戦争映画やスタンダードな文芸ものを撮っていた彼が、何だか突然覚醒したって印象。でもロシア国内の評を見ると、ロシアの人たちにとっては中央アジアの草原の話より大祖国戦争での戦闘の方が身近なのか高評価。
ロシアでは総じて「ブレスト」>「草原の実験」みたいだ、という趣旨です。ヒロインの魅力に感じ入るのも、ラストに「衝撃」を受けるのも、ある意味日本ならではなのかもしれない。ロシアやアメリカ、中国といった大国をはじめ世界中の人々に感じてほしいが。

映画の舞台となったのはカザフの草原(最初観た時はセミパラチンスクとかを想起しつつも、作品としては地名や時代を特定せず、”どこともしれない、いつともしれない”感を出している~その方が”今、ここ”との繋がりを示せるかも…と思ったけれど、二回目に観るとラジオから流れるのはロシア語のニュースだし、イズベスチヤ読んでいるし、お出かけにトランクに入れるのはマヤコフスキーだし、旧ソ連中央アジアをばっちり描いていたわ)だが、実際の撮影はクリミア半島のフェオドシヤで行われたとのこと。意外だった。



2015年10月11日日曜日

◆КНИГА声に出して読みづらいロシア人 (コーヒーと一冊)

日本人にとって難解なロシアの有名人(文学上の人物も登場)の名前を解説。おもしろおかしく書いてあるけれど、発音のコツのコーナーはとっても実用的!スポーツ選手はスタルヒンとザンギエフと、ちっとも読みづらくないチョイスだから、是非ベシャスヌィフを入れてほしかった。女性の項が全然ないのが惜しい。フィギュアスケート選手とかでいそうじゃないか。