2013年5月26日日曜日

◇КНИГА(書籍情報)シベリア絡みで2冊


『シベリア鉄道紀行史 アジアとヨーロッパを結ぶ旅』
和田博文著筑摩選書20131月刊ISBN978-4-480-01561-7

★シベリア鉄道前史にあたる榎本武揚駐露公使の鉄道・汽船・旅行馬車でロシア~シベリア横断紀行から、第二次世界大戦後のシベリア抑留者たち(長谷川四郎・高杉一郎など)の帰国あたりまで、当時のガイドブック、新聞記事を交えた紀行文を通事的に紹介するもの。個々の扱いは簡潔にならざるをえなかったが、内容は盛り沢山だ。『女三人のシベリア鉄道』(森まゆみ著集英社)で取り上げられた3人も勿論登場する。

★ロシア人との交流のエピソードは随所で紹介されているが、中でも山田耕筰の項がとてもおもしろかった。

★淡々とした記述に終始していると言ってよいのだが、あとがきの末尾に書かれた「シベリア鉄道でパリに行くという話をしたとき、実に多くの方が、はるか遠くを見つめるようなまなざしになった」という一文が心に残る。

 
『「シベリアに独立を!」 諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす』
田中克彦著岩波現代全書2013618日刊行2205ISBN978-4-00-029103

2013年5月25日土曜日

◇КНИГА(書籍情報)岩波現代全書創刊

『「シベリアに独立を!」 諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす』
田中克彦著岩波現代全書2013618日刊行2205ISBN978-4-00-029103

 

2013年5月23日木曜日

◆ПЕРЕДАЧА(放送予定)「戦争と平和」、今度は「100分de名著」で

「100分de名著」(NHK教育TV(水)23:0023:256月は、レフ・トルストイの代表作『戦争と平和』を川端香男里先生が解説されます。

★テキストは525日発売。NHK出版550ISBN978-4-14-223027-3

★川端香男里先生はかつてラジオ講座応用編でこの『戦争と平和』の講読を担当されていました。テキストと放送を録音したカセットテープ半年分すっかりとってある!

2013年5月19日日曜日

◇КНИГА(書籍情報)ロシア・ソ連映画関連書籍


『ヒトラーが寵愛した銀幕の女王 寒い国から来た女優オリガ・チェーホワ』
アントニー・ビーヴァー著山崎博康訳白水社336020135月刊ISBN 978-4-560-08281-2

★文豪アントン・チェーホフの妻、モスクワ芸術座所属のオリガ・クニッペルも、「女優オリガ・チェーホワ」なのだが、この本の主人公は、オリガ・クニッペルの姪。アントン・チェーホフの甥(長兄アレクサンドルの息子)ミハイル・チェーホフ(マイケル・チェーホフ、アメリカでアクター・スクールを作り、多くの俳優を養成した)の最初の妻←つまり文豪チェーホフ夫妻の甥と姪同士で結婚していた。この人はドイツ・オーストリア映画に数多く出演しました。「オルガ・チェーホヴァ」あるいは「オルガ・チェーホフ」の名前でクレジットされていることが多いです。
フィルムセンターの古いドイツ映画特集で出演映画(「たそがれの維納(ウィーン)」ヴィリ・フォルスト監督1934年、「ブルグ劇場」ヴィリ・フォルスト監督1936年)を観たことがあったので、「銀幕の女王」だということは知っていたけれど、「ヒトラーが寵愛した」とは知らなかった。

★2013年8月20日追記。「ロシアNOW」の「初期の映画女優」に、このオリガ・チェーホワが載っています。

 

『戦艦ポチョムキンの生涯――1900-1925
寺畔彦著現代書館2013523日刊行2200円+税ISBN978-4-7684-5701-6

★「映画史上最も有名な5分間」と呼ばれ、「未来世紀ブラジル」「アンタッチャブル」「あんなに愛し合ったのに」等々のオマージュでも知られる、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の「戦艦ポチョムキン」の“オデッサの階段のシーン”。エイゼンシュテイン研究の第一人者であった故山田和夫先生がオデッサを訪れるにあたって、やはりあの階段をこの目で見たい、とおっしゃっていたのに対して、「行って見るとがっかりしますよ」と笑いながらからかうように言っていた人たちがいたのは、史実と映画の演出は別物だということ。(山田先生はちっともがっかりしていなかった。)で、実際階段を降りるのにそんなに時間はかからない。
“映画のストーリー、有名シーンを史実と比較しながら語る稀有な物語。映画ファン、戦艦・軍事史オタク、ロシア革命史に興味のある人必見!”とのことですよ。

◇КНИГА(書籍情報)ユーラシア・ブックレット№181~185


630円という廉価で5冊ずつ年4回で刊行されていたこのシリーズも、840円に値上げされ、刊行回数も減っている(年2回?)ので、久々に刊行予定のニュースを目にすると、ひときわ感動します。

『ミステリとしての『カラマーゾフの兄弟』 スメルジャコフは犯人か? ユーラシア・ブックレット№181
高野史緒著東洋書店2013525日刊行840ISBN9784864591102

『二一世紀ロシア小説はどこへ行く 最新ロシア文学案内 ユーラシア・ブックレット№182
ボリス・ラーニン著貝澤哉訳東洋書店2013525日刊行840ISBN9784864591119

『日本文学 ロシア人はどう読んでいるか ユーラシア・ブックレット№183
坂庭淳史著東洋書店2013525日刊行840ISBN9784864591126
 
『令嬢たちの知的生活 18世紀ロシアの出版と読書 ユーラシア・ブックレット№184
中神美砂著東洋書店2013525日刊行840ISBN9784864591133
 
『住宅貧乏都市モスクワ ユーラシア・ブックレット№185
道上真有著東洋書店2013525日刊行840ISBN9784864591140


★今回の5冊は文学系が多いですね。一番に読んでみたいのは№184でしょうか。『令嬢たちのロシア革命』とか、“令嬢”という言葉に弱いもので。

★№181は昨年『カラマーゾフの妹』で江戸川乱歩賞を受賞された高野史緒さんによる、文字通りミステリーとして『カラマーゾフの兄弟』を読み説くもの。同受賞作においても、フョードル殺害犯をスメルジャコフとする説の矛盾を突いていました(犯行動機の面はひとまず置いておくとする)。

NHKTVロシア語講座講師の貝澤哉先生が訳された最新ロシア文学についてのブックレットも早く読みたい(この類の本、例えば岩本和久先生の『トラウマの果ての声―新世紀のロシア文学』などは、いち早く読んでは、挙げられている本が日本語になかなか訳されずに悔しい思いをするのだけれど)。

2013年5月11日土曜日

◆ПЕРЕДАЧА(放送予定)製作費は映画史上最高額!「戦争と平和」の4夜


①音楽都市散歩「ロシア」

NHK BSプレミアム2013513日(月)27:3028:00

サンクト・ペテルブルク~ペトロパブロフスク大聖堂,エルミタージュ美術館,モスクワ~聖ワシリー聖堂,赤の広場,イワノフカ

歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲(作曲)グリンカ/歌劇「イーゴリ公」だったん人の踊り(作曲)ボロディン/組曲「展覧会の絵」プロムナード(作曲)ムソルグスキー/「アンダンテ・カンタービレ」(作曲)チャイコフスキー/「ピアノ協奏曲 第2番」(作曲)ラフマニノフ

②映画「戦争と平和 «Воина и мир»
セルゲイ・ボンダルチュク監督1965年~1967年ソ連

写真は2008年鳩山会館での「ロシア貴族コスチューム展」より、映画で使われた衣装。
左からナターシャ、ソーニャ、エレン

NHKBSプレミアム(BS)プレミアムシネマ
5/13
(月)24:4527:15

「戦争と平和 第1部 アンドレイ・ボルコンスキー」«1-я серия. Андрей Болконский»
5/14
(火)24:4526:25
「戦争と平和 第2部 ナターシャ・ロストワ」
«2-я серия. Наташа Ростова»
5/15(水)24:4526:08
「戦争と平和 第3 1812年」
«3-я серия. 1812 год»
5/16(木)24:4526:25
「戦争と平和 第4部 ピエール・ベズーホフ」
«4-я серия. Пьер Безухов»


NHK教育テレビ515()25:0025:25(再放送517()5:305:55
テレビでロシア語第6課「エルミタージュ美術館(2)至宝鑑賞」
★エルミタージュの対げっ歯類護衛官の猫たちが登場します。

2013年5月8日水曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)EUの中のバルト・ソヴィエト・ロシア・ウクライナ


EUフィルムデーズ2013
531()626()66日~9日、20日~22日は休映)
九段下・イタリア文化会館

EU加盟諸国が自国の自慢の作品を廉価(500円!)で紹介するイヴェント。東京での上映の後、高松・金沢・岡山・佐賀に巡回します(但し、全作品が上映されるわけではないようです)。ここでは旧ソ連構成国であるバルト諸国の作品及びウクライナ語の作品を紹介します。

 

①「マゴット・フィーダー」「ヴィラ・アントロポフ」他4
 エストニア2008年~2012年

②「ドリーム・チーム1935」
 アイガルス・グラウバ監督2012年ラトヴィア

③「再会」
 クリスティヨナス・ドジューナス監督2010年リトアニア

④「新しい毎朝をありがとう」
 ミラン・シュタインドレル監督1994年チェコ

2013年5月6日月曜日

◇ВЫСТАВКА(展覧会情報)ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム


松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて
ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム

10/26(土)-1/26(日)神奈川県立近代美術館 葉山
休館日:月曜日(11/412/231/13は開館)、12/29(日)-1/3(金)

★昨年311日に65歳で亡くなったデザイナーの松本瑠樹氏の膨大なポスターコレクションから、カジミール・マレーヴィチ、アレクサンドル・ロトチェンコ、ステンベルク兄弟、ニコライ・プルサコーフなど、数多くの未公開作品を含むポスター約170点を紹介するもの。未公開作品多数。庭園美術館でのカッサンドル展(1991年)も松本瑠樹氏のコレクションだったのですね。

神奈川県立近代美術館葉山館は、JR逗子駅または京急線新逗子駅からバスで約20分。
 5月26日までレーピン展を開催中。

 
★他館への巡回の予定はないようです。→あります!
 11月17日、行ってみての追記
 2014年9月30日~2015年11月24日 用賀・世田谷美術館
 なあんだ、東京であるじゃないか、葉山まで行く必要ないと思うなかれ。
 この美術館のゆったりした展示は他館にはなかなか真似できないでしょう。
 6枚合わせ(「ミス・メンド」)、8枚合わせ(「十月」)など大きな作品は壁にただ一枚展示の迫力!
 
★10月5日、京橋のフィルムセンターにポスターが貼ってありました。いよいよ間近になってきた。
 
カフェに貼ってあったポスターです。
リシツキー「赤の楔で白を打て」

ステンベルク兄弟「戦艦ポチョムキン」

ステンベルク兄弟「カメラを持った男」