2012年8月5日日曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)新百合ヶ丘の夏*新作「ファウスト」とソクーロフ選集


818日(土)~31日(金)(20日(月)休映) 新百合ヶ丘・川崎市アートセンター
☆「ファウスト」は一日3回上映(25日~31日は一日1回)上映、ソクーロフ選集は1800より一日1回、日替わりでの上映。

「ファウスト」«Фауст»アレクサンドル・ソクーロフ監督ロシア2011

★あのゲーテの「ファウスト」が原作のドイツ語作品。ソクーロフの映画の中でも原作が有名文学作品であるもの(「ボヴァリー夫人」「静かなる一頁」等)はかなり辛いものがあるので覚悟して観に行こう。独自解釈のラストです。女優の選定にはいつも素っ気ないソクーロフだが、今回のヒロイン、イゾルダ・ディシャウクはロシア生まれの美女。



「ファウスト」公開記念 ロシアの巨匠ソクーロフ選集
「モーツァルト・レクイエム」«Петербургский дневник. Моцарт. Реквием»
2004年フランス

★日本初公開作品。原題は「ペテルブルグ日記―モーツァルト・レクイエム」。(「ペテルブルグ日記」と題する作品はこれの他にドストエフスキー編(1997年)とコージンツェフ編(1998年)があります。)「レクイエム」の舞台(コンサート形式のオペラ上映みたいな感じで、歌手たちが歌いながら舞台を移動する様子を延々と撮っている)をひたすら追う70分。後の「エルミタージュ幻想」にも通じる作風。

 「ヴィオラソナタ・ショスタコーヴィチ」«Альтовая соната. Дмиторий Шостакович» 
1981年ソ連

★師匠セミョーン・アラノヴィチとの共同監督作品。作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチの生涯を、貴重な記録映像(バレエ「黄金時代」初演時(サッカー編)の衣装などが観られる!)を駆使して描く。

「エルミタージュ幻想」«Русский ковчег»
2002年ロシア

★エルミタージュ内を巡る驚異の90分ワンカット。ゲルギエフ指揮のオーケストラも見もの聴きもの。豪華でそれまでのソクーロフっぽくない。

「チェチェンへ アレクサンドラの旅」«Александра»
2007年ロシア

ガリーナ・ヴィシネフスカヤ演じる老女アレクサンドラが、孫が赴任しているチェチェンの駐屯地に現れる。思い切り場違いな彼女に対して駐屯地の兵士たちは結構優しい(世話役を仰せつかった兵士は役立たずだが)。チェチェンの美少年イリヤスの「こんなに長く戦争をして、もう解放してほしい」という言葉に対して、アレクサンドラ曰く「日本の老女が言っている。どんなに辛いことも終わる時が来る。必要なのは理性を失わないこと。武器や暴力に真の力はない。」誰のこと?と思ったら、日本の老女японская конституция説が。憲法は確かに女性名詞、しかし<老女>扱いか。ロシア兵だけでなく、チェチェンの市井の人々もアレクサンドラ(割と我がまま気ままなおばあちゃんなのだが)にとても親切だ。しかしその親切にロシア人としてはいつまでも甘えていてはいけないのでは?

0 件のコメント:

コメントを投稿