2012年8月11日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)無声映画の雄弁


シネマの冒険 闇と音楽 2012 ロシア・ソビエト無声映画選集
94日(火)~99日(日) 京橋・東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール
 

☆帝政ロシア時代から1920年代のソヴィエト映画の名作までの8本の作品。有名な作品からかなりレアなものまで、フィルムセンターならではのセレクション。見逃せません。以前ウクライナアヴァンギャルドに書いていたグループの人たちが出てきます。



1.「スペードの女王」«Пикавая дама»
ヤーコフ・プロタザーノフ監督1916年帝政ロシア

★監督はあの「アエリータ」«Аэлита»のプロタザーノフ、主演は名優モジューヒン(革命後フランスに亡命して「キイン」«Кин»,「カサノヴァ」«Казанова»,「白魔」«Белый дьявол»等に出演)。原作はアレクサンドル・プーシキン。

  「人生には人生を」«Жизнь за жизнь»
エヴゲニー・バウエル監督1916年帝政ロシア

★帝政ロシアのメロドラマ。ヒロインを演じたヴェーラ・ホロードナヤはミハルコフ監督「愛の奴隷」のモデルになった帝政ロシア時代の人気女優。



2.「セルギー神父」«Отец Сергий»
ヤーコフ・プロタザーノフ監督1918年ソ連

★「スペードの女王」と同じくヤーコフ・プロタザーノフ監督でイワン・モジューヒン主演の作品。セルギー神父を誘惑する未亡人を演じるのはモジューヒン夫人のナターリヤ・リセンコ。原作はレフ・トルストイ。



3.「プライト技師の計画」«Проект инженера Прайта»
レフ・クレショフ監督1918年ソ連

★ブルガーコフみたいなファンタスチカ+ボリス・バルネットみたいな活劇。

 「ポリクーシカ」«Поликушка»
アレクサンドル・サーニン監督1919年ソ連

★レフ・トルストイ原作。「駅長」(「ポスタオマスタア」)«Коллежский регистратор(Станционный смотритель) »監督・主演のイヴァン・モスクヴィンが主演している。



4.「ズヴェニーゴラ」«Звенигора»
アレクサンドル・ドヴジェンコ監督1927年ソ連

★これまで「ズヴェニゴーラ」と表記していたのだが。ソ連無声映画三代巨匠のひとり、ウクライナ最大の鬼才ドヴジェンコの出世作。



5.「新バビロン」«Новый  Вавилон»
グリゴリー・コージンツェフ&レオニード・トラウベルグ監督1927年ソ連

★この作品はショスタコーヴィチの音楽で知られる。しかしピアノ伴奏なしの回ではサイレント上映なのか?後に「ハムレット」«Гамлет»,「リア王」«Король Лир»でシェイクスピアの母国を震撼させたコージンツェフとトラウベルグは実験演劇(エキセントリック俳優工房)・映画(「女ひとり」«Одна»)で共同演出・監督をし、その後独立。ヒロインのクジミナはボリス・バルネットと結婚、「青い青い海」«У самого синего моря»,「国境の町」«Окраина»でヒロインをつとめている(が離婚した)。「新バビロン」はデパートの名前。



6.「帝国の破片」«Обломок империи»
フリードリヒ・エルムレル監督1929年ソ連

★後に「呼応計画」«Встречный»が大ヒットしたエルムレル、第一回カンヌ映画祭にも「偉大な転換」を出品しています。表現の斬新さとテーマのソヴィエトチックなところに驚かされる。

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