『現代文 トルストイの日露戦争論』
レフ・トルストイ著平民社訳国書出版会2011年1月刊1500円+税ISBN978-4-336-05340-4
★レフ・トルストイが1904年6月27日に「ロンドン・タイムス」に寄稿、平民社の堺利彦・幸徳秋水らが翻訳し「平民新聞」第39号(1904年8月7日)に掲載、文明堂出版社が同年9月20日に『トルストイの日露戦争論』として発行。国書刊行会の本書では、明治の文体を現代文に直し、旧漢字旧かなづかい旧地名(倫敦・羅馬等)を改め、小見出しをつけ、フランスのフィガロ紙、イギリスのロンドン・タイムス紙の各評論、石川啄木の批評「トルストイ翁論文」を併載。というわけで、実質新訳としてもよさそうな、現代的な装いで、読みやすくできています。
『黄金の夢の歌』
津島佑子著講談社2010年12月刊2200円+税ISBN978-4-062166485
★キルギスの英雄譚「夢の歌」をたどる「あなた」(日本人女性)とその友人の弟(中国人らしい)、それにキルギスの人たちの紀行を地の文に、「歌」がはいりこむ。不思議な物語だ。中央アジアという土地にあって、多くの民族が通り過ぎ、英雄らが「歌」になった。が、キルギスの人たちにとって「玄奘などは、どうでもいい」が、「この土地に勝手に侵略してきた連中であるはずなのに」アレクサンドロス大王については「無関心ではいられない」「マナスの歌のひびきを呼び起こす存在になっているのかも」というあたりが興味深い。ウズベクの人にとってのチムールもそんな感じか。
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