2017年4月16日日曜日

クリロフ事件


帝政ロシア下の高官暗殺者の一人称語り。
どうもサヴィンコフ(ロープシン)の『蒼白き馬』に重ねてしまう。
高官クリコフも暗殺者レオン・Mも行動も思考も、本物のテロリストであるサヴィンコフと比較するとまだまだ甘いなという気はする。ネミロフスキーは亡命者であってこのあたりの切実感は希薄だし、Mがクリコフに近づく経緯も都合よすぎるのがちょっと。

そういうのがあるにせよ、おもしろく読める。
アンリ・トロワイヤの歴史小説程度には。

しかし、ロシアの人名・地名が妙にフランス風に訳されていて、最初のうちはどうにも居心地悪かった。
特にピエール・エ・ポール監獄には大いに吹いた。
ペトロパヴロフスク要塞というのが一般的だろう、ペトロパヴロスキーとかペトロパヴロフカヤとかバリエーションはあるが。ピエールとかやめてくれ。

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