2016年10月21日金曜日

КНИГА『ヒトラーの娘たち ホロコーストに加担したドイツ女性』


戦争に直接関わった女性たちのレポートとしてはアレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が強烈だが、ナチスの下っ端の職員として、あるいは隊員の妻・愛人として、ホロコーストに関わったドイツの女性たちにスポットを当てた本書は更に衝撃的。ユダヤ人の子どもたちを飴でおびき寄せ、壁に叩きつけて惨殺、或は狩りのように射撃、ジャーマンシェパードに子どもたちを襲わせ子どもたちを引き裂く。
それでもそんな彼女らの殆どは戦後も刑に服することはなかった。終身刑を受けたのはたった一人、それも晩年には釈放された。生き延びた被害者の証言は往々にして証拠不十分とされ退けられている。

256ページ
本書に登場する女性は誰一人として、殺されなければならなかったわけではない。ユダヤ人を殺すことを拒否しても罰を受けることはなかった。

それでも敢えて殺したのは、しかし特別残忍な、人間性を失った異常人格者というわけではなく、ちょっと欲深かったり野心があったりした普通の人で、周囲の雰囲気に流され楽な方に流れた人たちである。
実に多くを考えさせられる。

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