画家のガガさんことゲオルギイ・コヴェンチュークが思いがけず昨年世を去っていた。芸術家の血筋としてはとても恵まれた血筋で、叩き上げの人の苦労はわからないかも、などと思っていたが、こちらはソ連時代のレニングラードの共同住宅住まいを綴ったエッセイで、これまで『ガガです、ガカの』で読んできた楽天主義満載の天才アーティストという印象とは違った面が見えてくる。
というのはコムナルカ(共同住宅)に暮らす人々の人生は、下町のお節介と人情みたいなハートウォーミングな話題に終始するほど甘くはない、いやむしろ予想以上に過酷だという読後感を持ったからだ。
何より、あの時代は過ぎ去り、当時同じコムナルカに住んでいた人々は殆どが故人である。作者のガガさんさえ、もういらっしゃらない。
『私のモスクワ 心の記録』だと当時の生活は古き良きソ連の回顧として語られるが、こちらはもっとずっと苦い味が残る。
というのはコムナルカ(共同住宅)に暮らす人々の人生は、下町のお節介と人情みたいなハートウォーミングな話題に終始するほど甘くはない、いやむしろ予想以上に過酷だという読後感を持ったからだ。
何より、あの時代は過ぎ去り、当時同じコムナルカに住んでいた人々は殆どが故人である。作者のガガさんさえ、もういらっしゃらない。
『私のモスクワ 心の記録』だと当時の生活は古き良きソ連の回顧として語られるが、こちらはもっとずっと苦い味が残る。
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