パラジャーノフ生誕90周年記念映画祭
6月 渋谷・ユーロスペース
「火の馬」«Тени забытых
предков»
セルゲイ・パラジャーノフ監督ドヴジェンコ記念キエフスタジオ1964年97分
★ウクライナのカルパチア地方の少数民族の伝承に基づく、べっとりエスニック映画。原作はミハイル・コチュビンスキーの『忘れられた祖先の影』。
「ざくろの色」«Цвет граната»1971年
★アルメニアの伝説的詩人サヤト・ノヴァの生涯を描くパラジャーノフワールド全開映画(といっても、現在このタイトルで公開されているのは、パラジャーノフが撮った「サヤト・ノヴァ」«Саят-Нова»を師匠セルゲイ・ユトケーヴィチが再編集した短縮版(←そのままだとあまりにアヴァンギャルド過ぎてソ連当局の許可が降りなかった)なのだが)。一人6役?を演じたソフィコ・チアウレリはスターリン礼賛映画「ベルリン陥落」を監督したミハイル・チアウレリの娘にして「不思議惑星キン・ザ・ザ!」のゲオルギー・ダネリヤ監督のいとこ、ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督の元夫人。旧ソ連圏の非「体制寄り」映画によく出演しており、特にパラジャーノフの作品には欠かせない人物(「アシク・ケリブ」「スラム砦の伝説」にも出演)でした。
「スラム砦の伝説」«Легенда о Сурамской
крепости»»1984年
★グルジア民話に基づく秘話。
「アシク・ケリブ」«Ашик-Кериб»1988年
★レールモントフ原作。アゼルバイジャンで撮影。ソフィコ・チアウレリは巫女さん役。
※「火の馬」がウクライナの少数民族、「ざくろの色」がアルメニア、「スラム砦の伝説」はグルジア、「アシク・ケリブ」はアゼルバイジャン、とそれぞれの土地の民俗色・香りを満載にした、眩暈を催すような作品ばかり。
※パラジャーノフ自身はグルジア生まれのアルメニア人。
※記念映画祭というからには、これまで日本で公開されたパラジャーノフ作品すべて(「ピロスマニのアラベスク」等)や関連ドキュメンタリー作品も含めて網羅的にやって欲しいのだが。もちろん可能なら未公開作品の本邦初公開ができるならそれに越したことはない。
7月1日補遺
※↑で「ピロスマニのアラベスク」や未公開作品の上映希望を述べていましたが、上映あることがわかりました!
「ピロスマニのアラベスク」«Арабески на тему Пиросмани»
グルジア記録映画スタジオ1986年
★グルジアフィルムではなく、グルジア記録映画スタジオ製作。だけれど、とても記録映画とは言い難い、天才が天才に捧げるオマージュ。
「アンドリエーシ」«Андриеш»1954-1955年
★羊飼いの若者の冒険譚。日本未公開作品(ゆえに未見)。ヤーコフ・バゼリャンとの共同監督作品。
「石の上の花」«Цветок на камне»1962年
★炭坑に広まった宗教と若者たち。日本未公開作品(ゆえに未見)。チラシによれば「後の作品との類似性があまり見られない」とのこと。