2016年10月21日金曜日

КНИГА『ヒトラーの娘たち ホロコーストに加担したドイツ女性』


戦争に直接関わった女性たちのレポートとしてはアレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が強烈だが、ナチスの下っ端の職員として、あるいは隊員の妻・愛人として、ホロコーストに関わったドイツの女性たちにスポットを当てた本書は更に衝撃的。ユダヤ人の子どもたちを飴でおびき寄せ、壁に叩きつけて惨殺、或は狩りのように射撃、ジャーマンシェパードに子どもたちを襲わせ子どもたちを引き裂く。
それでもそんな彼女らの殆どは戦後も刑に服することはなかった。終身刑を受けたのはたった一人、それも晩年には釈放された。生き延びた被害者の証言は往々にして証拠不十分とされ退けられている。

256ページ
本書に登場する女性は誰一人として、殺されなければならなかったわけではない。ユダヤ人を殺すことを拒否しても罰を受けることはなかった。

それでも敢えて殺したのは、しかし特別残忍な、人間性を失った異常人格者というわけではなく、ちょっと欲深かったり野心があったりした普通の人で、周囲の雰囲気に流され楽な方に流れた人たちである。
実に多くを考えさせられる。

2016年10月15日土曜日

◆Спектакль今年もあります「12の月のたき火」

人形劇団プーク クリスマス連続公演
12月16日~27日 新宿駅南口・プーク人形劇場『12の月のたき火』

★年末年始の定番プログラム、日本では(たぶん世界的にも)サムイル・マルシャークの『森は生きている』«Двенадцать месяцев»で知られる、継母によって厳寒の森へ花を探しに遣られた娘が幸せを見つけるお話は、人形劇団プークでは、スロヴァキア民話による『12の月のたき火』として上演されます。


プーク人形劇場では、11月3日~27日にチェコのカレル・チャペック原作『ゆうびん屋さんのお話』とステーエフ原作『ひとまねアヒル』、2017年1月2日~5日にロシアのウラジーミル・オルロフ原作『ハリネズミと金貨』(同時公演「スカーフのファンタジー」)も上演される。

大好きなお話。心がぽかぽか暖まる!森の皆が温かく冬を過ごせますように!

オデッサ・コスモス: ◆Спектакль森は生きている/12の月: 年末年始の定番「森は生きている( 12 の月)」 «Двенадцать месяцев» 特集です。 ①劇団仲間公演「森は生きている(十二月物語)」  サムイル・マルシャーク作湯浅芳子訳髙田潔演出  12/23 (水・祝)~ 27 (日)・ ...

2016年10月8日土曜日

◆КИНОФИЛЬМ「こころに剣士を」

フィンランド・エストニア映画
ルーマニア映画「トレジャー」を観に行ったヒューマントラストシネマ有楽町でフライヤー入手

12/24~

2016年10月3日月曜日

КНИГА『私のロシア文学 (文春学藝ライブラリー)』


当初は西洋文学講義のつもりだったというが、お好きで馴染みのロシア文学講義に。それを講義口調のまま書籍化。なので、読みやすい。
著者(ロシア文学専門ではない)の好みがかなり色濃く出ているので、ブーニンについては非常に説得力がある反面、ブルガーコフあたりは苦しい。

2016年10月2日日曜日

◆КНИГА『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』


一人一人の人生が重たいが、救われる明るさがある。
特に最後のカザフスタン住まいのロシア人、訪ねてくる日本人同窓生を寮歌をずっと歌って待っていてくれたり、若者の応援に乗り出したりと、心温まる。
読んでよかった。
記憶し、伝えていくべき歴史だ。
(けれど、この本が出たことによって、身に何らかの不幸が降りかかる人がありませんように、と祈る。)

「建国大学は徹底した『教養主義』でね」と百々は学生に語りかけるような口調で私に言った。「在学時には私も『こんな知識が社会に役に立つもんか』といぶかしく思っていたが、実際に鉄砲玉が飛び交う戦場や大陸の冷たい監獄にぶち込まれていた時に、私の精神を何度も救ってくれたのは紛れもなく、あのとき大学で身につけた教養だった。」(101p)
この言葉は大切にしたい。