2016年9月18日日曜日

◆КИНОФИЛЬМグルジア映画いろいろ

9月17日から岩波ホールで公開の二つのグルジア映画(「みかん~」はエストニア映画でもある)、心に滲みる作品。
ただグルジア映画の限界かと思うが、アブハジア紛争を取り上げながらアブハジア人を正面から描けてはいない。グルジア人と対峙するのがアブハジアを応援しに来たチェチェン人になっていたりする。

「みかんの丘」
昨年のEUフィルムデーズで「タンジェリン」というタイトルで上映された作品。



「タンジェリン」エストニア+グルジア
中心人物4人の俳優それぞれがいい雰囲気。そこにアブハジア人が入っていないのは残念だが、グルジア人監督としてはアブアジア紛争を描くにはこれがぎりぎりだったのだと思う。アブハジア人が言ってしかるべき台詞をグルジア人兵士に言うのはチェチェンの契約兵士
アニメーション以外のエストニア映画はEUフィルムデーズで何本か観たがやっと何とか観賞に耐えるのが来た感じ。それが「タンジェリン」。敵同士一つところに居合わせて反目しつつという設定は「ノーマンズランド」その他よくあるものではあるけれど。
EUフィルムデーズ今日観た「マコンド」「タンジェリン」ともチェチェン人が登場。「タンジェリン」はグルジア人監督のエストニア作品。エストニア人、グルジア人、チェチェン人。アブハジアが舞台ながらアブハジア住民は出てこない。兵士達がちらりとだけ。
今年のEUフィルムデーズのベスト作品。
連休中に観た「マックスへの手紙」で、アブハジア人マックスの「隣近所に住んでいたグルジア人には何の恨みもないが、突然グルジア軍が攻めてきて戦うしかなかった。こうなった以上もうグルジア人と一緒には暮らせない。難民になったグルジア人の人たちは気の毒だと思う。でももうソ連時代には戻れない。戻れたらどんなにいいかと思うが」という言葉(←正確な再現ではない)を重く思い出す。アブハジアでも南オセチアでも、そしてドンバスでも、そうなってしまったのはいったいなぜ?
戻れない、が、それでも殺しあわずに生きていかなければいけないのだ、人間は。
まずは他人の言葉や信じるものを奪うことがあってはならないのだ。

「とうもろこしの島」

 
昨年の東京国際映画祭で「コーン・アイランド」というタイトルで上映された作品。
 

寡黙にして雄弁な東京国際映画祭の上映作品(3)「コーン・アイランド」

グルジア映画で、極端に台詞が少ない中で、中心人物の老人と孫娘はアブハジア語を話すようだ。
兵隊たちはグルジア語のようで、脱走兵と老人・娘は言葉が通じない、という設定なのか。

川と中州の自然描写は素晴らしいが、やはりいささか退屈・・・。
こういう映画って、なぜか数年に一回は出てくるのだ。※
なんだか観たことある感じだな、と思いながら観ていた。

※例えば2008年の東京フィルメックス映画祭で観た「デルタ」というハンガリー映画とか。

グルジア映画も、去年東京国際映画祭で観たのは素敵な作品で、一般公開を切望するものだったが、今回のこれはこれっきりだろうなあ。

・・・というのが、当時の感想だったが、「タンジェリン」とセットで、岩波ホールで公開中(11/11(金)まで)。
「みかん」のおかげだよ、「とうもろこし」!
どちらもアブハジア紛争から約20年経って、「グルジアは被害者!あいつらが悪い!」とは言わない、ぎりぎり良心的な立場といってよいようなものができたようなのだが、それでも当然「中立的すぎる」みたいな攻撃はあったというし、プログラム中グルジア映画遺産保護協会会長も「みかんの丘」の解説で史実と相違するなどと作者を非難していて興ざめであるが。

以下小ネタ。

「みかんの丘」ザザ・ウルシャゼ監督の父ラマズ・ウルシャゼРамаз  Урушадзеはプログラムによると「サッカーのソヴィエト代表の著名なゴールキーパー」。実際にはソ連代表としては2試合出場のようだけど、64年スペインでの欧州選手権準優勝時のメンバーだった。
(当時の正キーパーはあのレフ・ヤシンである。)

アブハジア人祖父と孫娘がいる中洲にやって来た兵士達が、ワインしかないと言われて、寧ろ有難いとか言って小宴会始めようとする場面、あれ?グルジア人?じゃなくてやはりアブハジア人達なんだね。

90年代という設定のはずだけど、「とうもろこし~」ではグルジア人兵士たちの肩章が現在のグルジア国旗のようだった(軍旗ではなかったと思う)。
当時の国旗は違うものだったと思うが。

また、岩波ホールでは、12/17(土)~イオセリアーニの新作公開とのこと。
いつもっぽいのんしゃらん映画らしい。
グルジアにいた頃の作品の方が100倍好きだが、ありがたいことに12/5~12/10アテネ・フランセ文化センターでオタール・イオセリアーニ監督特集がある!
交渉中ながら、上映予定作品は「落葉」!!!「田園詩」!



 

2016年9月10日土曜日

◆КНИГА『23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)』

三部作の最終巻で妙に現代的になって流行りの固有名詞が氾濫する。日本のコギャルの描写など苦笑する。
あれっていう終わり方。というか、途中から方針変えたみたい。
狂信的なカルトの行く末ということで、仲間内以外には何してもいい、手段としか見ないという態度に、全く共感できず(まあアンチテーゼだろうけど)。
やっぱりソローキンだなあ(今までの作品よりエログロは抑え気味だったけど)、バラバノフみたいだなあ、という感想で、それでもこれまでの路線とは「心」とか言い出した点で違ってきているので、今後ソローキンは晩年のバラバノフみたいになるのかもしれない。

◆КНИГАウラジーミル・ソローキン「氷 氷三部作2」
◆КНИГАウラジーミル・ソローキン「ブロの道 氷三部作1」  

2016年8月18日木曜日

◆КНИГА『チェーホフさん、ごめんなさい』

Я очень рада, что получила эту книгу от Кодзима сан!

表紙の画像が出なくて残念。これまでの未知谷のチェーホフ・コレクションが並んでいて心ときめく。栗毛色の犬がじっとこちらを見つめる『カシタンカ』、ザトゥロフスカヤの描く墨絵のように力強く内省的な『ロスチャイルドのバイオリン』『モスクワのトルゥブナヤ広場』、何度も何度も読み返す『大学生』『たわむれ』『ワーニカ』、小さな三部作『すぐり』『恋について』『箱に入った男』 これらの刊行に、訳やプロデュースで関わってこられた児島宏子さんが、チェーホフさんに話しかけながら作品を語っていくエッセーだ。
現代ロシア文化の大家たち、ノルシュテイン、ソクーロフ、それに日本が誇るパペットアニメーションの巨匠川本喜八郎とのエピソードも惜しげなく語られる。ウンベルト・エーコまで登場する!
限りなく贅沢な小品群だ。
逸る気持ちを抑えながら、じっくり読もう。何度も何度も。
私もチェーホフさんに呼び掛けながら。

それにしても、チェーホフはいくら語っても語りつきない。 誰もが「私のチェーホフ」を語りたがる。

 
上段左から『ワーニカ』『カシタンカ』『チェーホフさん、ごめんなさい』『すぐり』
川本先生の『チェコ手紙&チェコ日記』
中段『大学生』
下段左から『たわむれ』『ロスチャイルドのバイオリン』『少年たち』『可愛い女』
 

2016年8月7日日曜日

◆КНИГА『マイダン革命はなぜ起こったか ロシアとEUのはざまで』

冒頭で著者が書いているように「私的ウクライナ論」で、当地の政治家や住民に会って話しました、というのが主なので、学術的な分析はない。なので、期待していたものとはかなり違った。
本にしなくてもブログやツイッターで充分なのでは?

「EURO2012の栄光と挫折」という章の見出しに、あれって栄光なの??と驚いたが、開催国でありながらグループリーグ敗退というウクライナ代表の話ではなかったのだね。
インフラ整備の話。(それもポーランドと比較してもUEFAや参加国の関係者を散々苛立たせるような遅延ぶりで「整備」と言ってよいのかと思うけれど。)
「今から考えてみると、ヨーロッパ最大のスポーツイベントを成功させ、欧州の一人前の国に認められたという感覚は、実は幻想で後にEU加盟への過大な期待を持たせただけではなかっただろうか。」云々。

まあ、無論今のウクライナでユーロが開催できるとは到底思えず、最初で最後の絶妙の機会だったということなのだろうけど、肝心のウクライナ代表の出来があれだったので、栄光とか成功とか、そういう言葉から程遠い気がしていた。

2016年8月2日火曜日

◆КИНОФИЛЬМ「フランコフォニア ルーヴルの記憶」

「フランコフォニア ルーヴルの記憶」《Франкофония》
アレクサンドル・ソクーロフ監督2015年ロシア・フランス・ドイツ・オランダ

10/29(土)~渋谷・ユーロスペース

「エルミタージュ幻想」は90分ワンカットで話題に。
エルミタージュは今まで4回訪ねているので、ある程度(あくまである程度!)場所の感覚は掴めたのだけど、ルーヴルは行ったことないからきっと新鮮な気持ちで観られるだろう。



ルーヴルにも猫いないのかな?

2016年7月21日木曜日

◆КНИГА『アゼルバイジャン 文明が交錯する「火の国」』


廣瀬先生はサッカーについての記事は「観てないだろ!」と大いに突っ込みなくなるような低レベルのことを書かれていたが、カフカースに関してはそうでもなかった。アゼルバイジャンについての本なので基本アゼルバイジャン側に立脚しているが極力アルメニアの主張も併記はしている。

2016年7月17日日曜日

◆КНИГА『軍事大国ロシア』

遅まきながらようやく入手したこの本なんですけど。




分厚くてめげそう。