2013年9月20日金曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)今秋の東京国際映画祭


震災と原発事故以来各方面で来日が忌避されているそうですが(上司談。その割には夏季五輪が決まってしまいました)、そういった影響があるのか国外からの参加作品は年々小粒感が否めない東京国際映画祭、今年の作品をピックアップしてみました。スケジュール詳細は分かり次第補筆していきます。

東京国際映画祭 10/17(木)~10/25(金) 六本木ヒルズ等で。

①コンペティション部門

「ブラインド・デート[ Brma Paemnebi ]«Свидания вслепую»
レヴァン・コグアシュヴィリ監督
95分 グルジア語2013年グルジア

★一瞬聞いたことある名前だと錯覚したのは、ヘルタ・ベルリン所属のレヴァン・コビアシュヴィリに似ていたからだった。コグアシュヴィリ監督はトビリシ・モスクワ・ニューヨークの大学で映画を学び、これまで4本の映画(2010年に「ストリート・デイズДни Улиц (Прогульщики)」他)を撮っているとのこと。これが5本目です。
 
「ザ・ダブル/分身」«Партнёр»
リチャード・アヨエイド監督93分英語2013年 イギリス
★ベルナルド・ベルトルッチ監督「分身」と同様にフョードル・ドストエフスキー原作作品。
 
特別招待作品
「エレニの帰郷 [ Η σκόνη του χρόνου ]«Пыль времени»
テオ・アンゲロプロス監督
127分英語・ドイツ語・ギリシャ語2008年 ギリシャ・ドイツ・カナダ・ロシア
★今年初頭に撮影中に交通事故で亡くなった、ギリシャの巨匠アンゲロプロスの遺作。前作「エレ二の旅」«Трилогия: Плачущий луг»ではほんの少しロシア語の場面がありましたが、今回はどうでしょう。制作国にロシアも入っています。とは言っても、今回の映画祭で最大の見どころはこれじゃないかしら?チケット取れるだろうか??

2013年9月16日月曜日

◇СПЕКТАКЛЬ(演劇情報)終電を逃した場合そこまでやるか?

俳優座劇場プロデュース№92「もし、終電に乗り遅れたら…」
アレクサンドル・ヴァムピーロフ作(原題「長男」«Старший сын») 宮沢俊一・五月女道子訳 菊池准演出

20131114日(木)~1124日(日) 六本木・俳優座劇場

2005年には劇団昴が今は亡き三百人劇場で原題どおりの「長男」で公演した、ヴァムピーロフ作品。

★今回、その劇団昴からは女優が三人出演、あとは文学座・俳優座等。

★昴の公演のときには、アフタートークで「シベリアの浅い春の夜なかに、女性がハイヒールなんか履いて歩いていて、ちっとも寒そうに見えない。」などと厳しい指摘を受けていたのが印象的だった。

★現代ロシアの戯曲では、どうしてこうも「嘘から出た何やら」という設定が多いのだろうか。適当に言い訳して、ばれそうになると更に苦し紛れに嘘を重ねて、という、映画「言い逃れ」(邦題「エターナル 奇蹟の出会い」)などにも通じるが、ロシア人って根本的にこういう嘘は嘘に入らないと思っているのだろうか??

★戯曲の邦訳は群像社から出ています。

2013年9月7日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)秋の名作劇場ジヴァゴで幕開け


「ドクトル・ジバゴ」«Доктор Живаго»
デヴィッド・リーン監督1965年アメリカ・イタリア
9/14()9/20() 神保町シアター「もう一度スクリーンで観たい秋の洋画名作集Ⅱ」での上映

2005年にオレーグ・メンシコフ(ジヴァゴ)、チュルパン・ハマートヴァ(ラーラ)、オレーグ・ヤンコフスキー(コマロフスキー)というキャストで本国初映画化が話題となったボリス・パステルナークの大長編ですが、今回の上映はオマー・シャリフ主演、挿入曲「ラーラのテーマ」も有名なアメリカ・イタリア合作のあの名作です。3時間40分。

★原作は今年3月に未知谷から工藤正廣訳で刊行されています。

2013年8月26日月曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)ワイルド・ワイルド・ドキュメンタリーフィルム

「祖国か死か」«Родина или смерть»
ヴィタリー・マンスキー監督ロシア2011
山形ドキュメンタリー映画祭201310/10-10/17)インターナショナル・コンペティションでの上映

★「青春クロニクル」「ワイルド・ワイルド・ビーチ」のマンスキー監督最新作は標題の革命スローガンを今も掲げる国、キューバの人々の暮らしをレポート。

「ワイルド・ワイルド・ビーチ」«Дикий, дикий пляж. Жар нежных»
アレクサンドル・ラストルグエフ、ヴィタリー・マンスキー、スサンナ・バランジエヴァ共同監督ロシア・ドイツ2006
9/27()1600~ 山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー
山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー金曜上映会での旧作上映。

オデッサスタジオよう2006年ワールドカップヨーロッパ予選対ポルトガル戦があった晩のビーチの様子も描かれる。結果がぼろ負けだったことを知っている私は苦笑しつつ、酒も入っていることだし暴動になるのではないかとひやひやして観ていたが、まあそこまではならないけれどいや~な雰囲気に。先日のユーロソングの放送でも貝澤先生たちがおっしゃっていたがリゾート地のロシア人たちは短期決戦の「肉食系」、とても入り込めない世界だ…。

※②は数年前の東中野のポレポレ坐での山形ドキュメンタリー映画祭東京上映で観ました。①も受賞すれば東京での上映機会があるのではないかと思われます。

2013年8月25日日曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)師匠の師匠の師匠による瀕死の白鳥


「瀕死の白鳥」«Умирающий лебедь»

エヴゲニー・バウエル監督帝政ロシア1917
1214()1700 本郷三丁目駅・本郷中央教会
「聖なる夜の上映会Vol.7」での上映(ピアノ:柳下美恵 チェロ:現在未定)

★エイゼンシュテインやフドプキンの師匠、レフ・クレショフ(現在ユーロで特集上映中)の師匠、帝政ロシア時代の映画界の巨匠エヴゲニー・バウエルの最後の完成作品。

★現在ではウリアーナ・ロパートキナ(未見)、またマイヤ・プリセツカヤ(私が観たなかで最も元気な白鳥です)や世界各国の名バレリーナによって、そして古くはアンナ・パヴロヴァ(当然観たことはないけど)の伝説的名演によって知られる、サン・サーンス「白鳥」のチェロの音色に合わせてのバレエのソロ演目「瀕死の白鳥」。ここで白鳥を舞うヒロインはこの時代のバレリーナ、ヴェーラ・カラッリ。バレエをそのまま撮ったものではなく、ドラマの中にバレエシーンがあるというもののようです。

★賀川豊彦による集会が催され、また幻燈とパイプオルガンによる伝道が「名物」であった(初めて日本映画が上映されたのだという)日本基督教団本郷中央教会での上映。現在の建物は1929年再建されたもので文化財に指定されています。

2013年8月5日月曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)2008年8月、南オセチアの夢

「オーガストウォーズ」«Август. Восьмого»
810日(土)~渋谷TOEI・有楽町スバル座等

★ヒロインのクセーニャを演じるのは「第9中隊」«9 рота»DVDでの邦題は「アフガン」でしたっけ)で数少ない女性として出演していた(軍隊内にいたちょっと頭の弱い女の子の役だと思う)スヴェトラーナ・イヴァノヴナ。←これは間違い!スヴェトラーナ・イヴァノヴァが正しい。ちなみに彼女の父称はイヴァノヴナではなく、アンドレエヴナ。品のあるそばかす美人だった。
エゴール・ベロエフはオセット人で元夫の軍人(グルジア軍の砲撃で息子の前で即死)とその後息子を守る«いいロボット»との2役だそうで。

★そうなのです。2008年8月8日に起こったグルジアの南オセチア侵攻とその後のロシア・グルジア間の戦争という史実に、「ナイト・ウォッチ」や「ウォンテッド」かと見紛うようなVFXの要素を絡めた戦争映画のようです。しかしVFXを期待してはいけないでしょう。たぶん観て失笑すると思う。日本の観客は目が肥えていますから。

★このとき南オセチア侵攻に踏み切ったサアカシヴィリも破れてカラーゼたちの「グルジアの夢」が政権をとって以来、ワインの禁輸も解かれるなどグルジアとロシアも関係修復に向かっているのに、今さら挑発的な映画をやらなくてもいいのになあ。日本で公開するにはもっといい映画があるだろうに、もう…。やっとロシア映画の新作が来たと思ったら、これですよ。

★とはいえ、ただの戦争映画ではないことを期待します。オセチア・ロシア・グルジアの未来に栄えあれ。

2013年8月3日土曜日

◇КИНОФИЛЬМ(映画情報)ソヴィエト映画,綺羅星のごとく


ロシア映画傑作選

831()920() シネマヴェーラ渋谷(ユーロスペース、オーディトリウム渋谷と同じビル)

★文芸ものあり、SF(ファンタスチカ)あり、アクションあり、メロドラマあり、戦争もの反戦ものあり。結構楽しめます。もちろんアート系もありますし。正統派中心のラインナップ。

★「ロシア映画」というより「ソヴィエト映画」です。グルジアフィルムやキエフスタジオ作品もありますので。

★⑬「ストーカー」以外は入替えなしの2本立て上映。




「母」«Мать»
フセヴォロド・プドフキン監督メジラブポム・ルーシ1926年(サウンド版1968年)
★原作はマクシム・ゴーリキーの同名の長編小説。私の好きな方のバターロフ(ニコライ)が息子役で出演。

 「アジアの嵐」«Потомок Чингис-Хана»
フセヴォロド・プドフキン監督メジラプポムフィルム1928年(サウンド版1949)
原作はイワン・ノヴォクショーノフ『チンギス・ハーンの末喬』。イギリス人に捕えられたモンゴルの猟師、お守りを見ると実はチンギス・ハーンの末裔だった!と色めき立つイギリス商人。傀儡にしたてあげようとするが、そこは気骨あるハーンの末裔、侵略者への協力を拒否してパルチザンに身を投じ…という具合に、都合よくチンギス・ハーンの名が使われます。

「宇宙飛行」«Космический рейс»
ヴァシリー・ジュラヴリョフ監督モスフィルム1935
基本的には真面目なSF映画(宇宙飛行士なのに遅刻するなよ、などと突っ込めるが。宇宙飛行の父、ロケットの父と称されるコンスタンチン・ツィオルコフスキー監修なのだ)。悪人はいないし、ラストでおおいにほっとする。必見。と言って何度も観に行っている私はいい加減DVDを買うべきではないだろうか?いや、ほんとに。パーヴェル・セドゥイフ博士役がセルゲイ・コマロフとなっているのも宇宙ファンにはぐっとくるところであります。

「アレクサンドル・ネフスキー」«Александр Невский»
セルゲイ・エイゼンシュテイン監督モスフィルム1938
★チュード湖の氷上の戦いを頂点とする、ノヴゴロドの、いや中世ロシア(ルーシ)の英雄アレクサンドル・ネフスキーの英雄伝。ドイツ騎士団のコスプレがまるきり石ノ森太郎ワールドで楽しい。

女狙撃兵マリュートカ」Сорок первый
グリゴリー・チュフライ監督モスフィルム195693
★農民出身の赤軍女性兵士マリュートカが捕虜の白軍将校護衛中に二人きりで孤島に難破。うーん、ちょっとあれな展開だけど。原題をみるとラストは容易に想像できてしまいますね。マリュートカの作る詩の下手っぷりは特筆に値する。

「誓いの休暇」«Баллада о солдата»
グリゴリー・チュフライ監督モスフィルム195987
★「世界で最も愛されたソ連映画」。この映画を紹介するのはそれだけでいい。私の“生涯ベスト5”の一本。

「火の馬」«Тени забытых предков»
セルゲイ・パラジャーノフ監督ドヴジェンコ記念キエフスタジオ196497
★グルジア出身のアルメニア人パラジャーノフによる、ウクライナのカルパチア地方の少数民族の伝承に基づく、べっとりエスニック映画。原作はミハイル・コチュビンスキーの『忘れられた祖先の影』。

「怒りのキューバ」«ЯКуба»
ミハイル・カラトーゾフ監督モスフィルム&イカイク(キューバ) 1964
★「鶴は翔んでいく」のカラトーゾフが、革命前のキューバの人々をオムニバス形式で撮った国策映画。映像の美しさが西側映画人に絶賛され、再評価に繋がったとのこと。

「鬼戦車T-34«Жаворонок»
ニキータ・クリヒン&レオニード・メナケル監督レンフィルム1964
★ソ連の戦争映画らしい硬派作品。だけれど原題はリリックに「ひばり」。個人的には「トルペド航空隊」と並んでお気に入りの戦争もの。

「ピロスマニ」«Пиросмани»
ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督グルジアフィルム1969
★ゲオルギー・シェンゲラーヤの「ピロスマニ」は画家の半生を追う伝記物、後記のセルゲイ・パラジャーノフの「ピロスマニのアラベスク」はピロスマニの作品を同じ画家としてオマージュを捧げたような作品になっています。

「田園詩」«Пастораль»
オタール・イオセリアーニ監督グルジアフィルム1975
★グルジア出身の映画人の中でもイオセリアーニは完全に都会派。なので、都会人の見た田園風景を描いています。

「愛の奴隷」«Раба любви»
ニキータ・ミハルコフ監督モスフィルム1976
★この時代のミハルコフはよかった、と思わせる、とてもミハルコフらしい作品。ロシア革命を背景にした映画人たちのメロドラマ。

「ストーカー」«Сталкер»
アンドレイ・タルコフスキー監督モスフィルム1979
★近年ストーカーというと“つきまとい行為をする人”という意味で固定してきてしまいましたが、ここでは“密猟者”という意味で、イントネーションは“低高低”としてください。原作はストルガツキー兄弟の『路傍のピクニック』(邦訳は深見弾訳『願望機』群像社1989年または『ストーカー』ハヤカワ文庫1939年。先日上映後に監督急死という衝撃が走ったアレクセイ・バラバノフの遺作「私も幸せになりたい」も同じ原作)。「ソラリス」のときは原作者レムと大喧嘩になりましたが、ストルガツキー兄弟はタルコフスキーが何たるものか心得ていたようで原作と全く別物になっても許してくれました。ソ連のSFは隠れた佳作が多く、これは「惑星ソラリス」とともに“SF大作”の名に恥じない作品。

 
「スタフ王の野蛮な狩り」«Дикая охота короля Стаха»
ヴァレーリー・ルビンチク監督1979年ベラルーシフィルム
★原作はウラジーミル・コロトケヴィチの同名の小説で、黒田龍之助先生はかつて「日本語訳をする本を一冊選べと言われたら迷わず『スタフ王』!」とおっしゃっていました。原作者自ら映画製作にかかわっており、橇遊びのシーンを観るだけでも価値のある、それはもう美しい映画!杉浦かおりさんによれば、「スリーピー・ホロウ」はこれのリメイクだと言う。

「光と影のバラード」«Свой среди чужих, чужой среди своих»
ニキータ・ミハルコフ監督モスフィルム1974
★監督自ら野盗のお頭役。女性は登場していただろうか?というくらい存在感ない。テヘランのアザディスタジアムみたいな男度100%、ソ連きってのアクション映画。

「炎628«Иди  и смотри»
エレム・クリモフ監督1985年ベラルーシフィルム、モスフィルム
★星の数ほどある戦争映画の中でも、ハティニの虐殺を描いたこれが間違いなく一番恐ろしい。観ていて腐臭が漂ってくる映画はこれしかない。辛くても、一生に一度は絶対に見るべき映画。但しデートには向かない。主人公フリョーラ役のアレクセイ・クラフチェンコは、その辺のちょいワル少年風でいい味を出していたものの、到底役者には向かないだろうと思ったのに、今ではいっぱしのアクション俳優になっていかがわしい戦争ものやなんかに出演している。世の中わからないものです…。

短篇集
A「殺し屋」«Увийцы»
アンドレイ・タルコフスキー、アレクサンドル・ゴルドン、ミハイル・ロンム監督S・A・ゲラーシモフ名称全ロシア国立映画大学1956
★原作はへミングウェイの短編小説。タルコフスキーが映画大学3年生の時に同級生たちと作った、彼の最初の作品。自らも出演しているし、他の出演者も後のソ連映画界で監督や俳優として活躍した人たち。

B「エレジー」«Элегия»
アレクサンドル・ソクーロフ監督1986
★“エレジー”がタイトルにつくソクーロフの作品には、
   「エレジー」«Элегия»
  「モスクワ・エレジー」«Московская элегия»
   「ペテルブルグ・エレジー」«Петербурская элегия»
   「ソヴィエト・エレジー」«Советская элегия»
   「単純なエレジー」«Простая элегия»
   「ロシアン・エレジー」«Элегия из России»
   「オリエンタル・エレジー」«Восточная элегия»
   「人生のエレジー.ロストロポーヴィチ、ヴィシネフスカヤ」(直訳:邦題は「ロストロポーヴィチ 人生の祭典」と全く違うものになってしまった)«Элегия жизни ― Рострапович. Вишневская»

 と今まで8つあって全てがドキュメンタリーだが、そのシリーズ最初の作品。ロシアの不世出のオペラ歌手フョードル・シャリャーピンについての映像をドキュメンタリーながらソクーロフ節で描いているので一筋縄ではいきません。

C「ピロスマニのアラベスク」«Арабески на тему Пиросмани»
セルゲイ・パラジャーノフ監督グルジア記録映画スタジオ1986
★今気がついたのだが、グルジアフィルムではなく、グルジア記録映画スタジオ製作。だけれど、とても記録映画とは言い難い、天才が天才に捧げるオマージュ。